歯列矯正は、歯並びを整えるだけでなく、顔の印象に大きく影響する場合があります。歯列矯正後は、口元や顎のラインに変化が現れ、笑顔や横顔に自信が持てるようになったり、健康面でも改善が見られたりする可能性があります。
本記事では、歯列矯正後に変わりやすい顔の変化や治療を受ける際の注意点をご紹介します。また、よくある質問も解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

歯列矯正後の顔の変化とは?
歯列矯正とは、不正な歯並びを理想的な配置に整えて、口元や顔の印象に変化をもたらす治療法です。歯が本来の位置からずれていると、口周りの筋肉や皮膚が外側に押し出される場合があり、それによってフェイスラインが広がったり長く見えたりします。
しかし、矯正治療を通じて歯並びが正されると、これらの影響が軽減され、フェイスラインが引き締まった印象になります。その結果、鼻から顎にかけてのラインが美しく整うだけでなく、全体的な顔立ちが改善される可能性も高いです。
また、口元は顔全体の印象を左右する大切な要素であるため、歯並びが整うと、より若々しく、バランスの取れた見た目を手に入れられます。

歯列矯正後に変わりやすい顔の変化は5つ
次は、歯列矯正後に変わりやすい顔の変化について解説します。
- スマイルラインやEラインが整う
- エラが目立たなくなる
- 顎の位置や角度が変わる
- 口を閉じられるようになる
- 口元がスッキリとして顔つきが若々しくなる
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
スマイルラインやEラインが整う
Eラインとは、横から見たときに鼻の先端と下顎の先端を直線で結んだラインを指しており、ラインに対する唇の位置が理想的な横顔を作り出す大切な要素です。一般的に、唇がこのラインの内側にある場合、バランスの取れた横顔と見なされます。
また、スマイルラインは、笑ったときに上の歯の先端を結ぶカーブの形状です。このラインが柔らかな曲線を描いていると、自然で親しみやすい印象を与えます。歯列矯正は、このような横顔や笑顔のバランスを整える治療であり、顔全体の印象を向上させる可能性があります。
エラが目立たなくなる
エラの張りは、原因によって対処法が異なりますが、筋肉が原因の場合、歯列矯正が改善につながる可能性があります。咬筋と呼ばれる筋肉が過度に発達するのは、歯ぎしりや食いしばりなどの習慣によるものです。これにより顔の輪郭が広がり、エラが強調されて見える場合があります。
しかし、歯列矯正で噛み合わせを整えると、これらの習慣が緩和され、咬筋への負担が軽減されるため、筋肉の過剰な発達が抑えられます。その結果、顔の輪郭がスッキリして、小顔効果を実感できるケースも少なくありません。
骨格が原因の場合には矯正だけでは大きな変化は難しいものの、筋肉によるエラ張りは歯列矯正によって改善が期待できるケースが多いです。
顎の位置や角度が変わる
歯列矯正は、歯並びだけでなくあごの位置や角度にも影響を与えるため、顔全体のバランスに変化をもたらす可能性が高いです。下顎の位置が改善されると、横顔のプロポーションが整い、より調和の取れた印象になります。
また、受け口の方が矯正をする場合、上の前歯を適切に前方へ移動させるとともに、下の前歯を後退させると、下顎の突出が抑えられます。この変化により、横顔のラインがスムーズになり、自然で美しいあごの形状が得られやすいです。
口を閉じられるようになる
出っ歯が原因で口が閉じにくい状態にあると、顔全体の印象に影響を与えかねません。このような場合、歯列矯正によって歯の位置が整い、自然に口を閉じられるようになります。その結果、唇の形状や口元のラインが改善され、よりバランスの取れた顔立ちを実現できます。
また、口が常に開いている状態が解消されるため、乾燥や口呼吸による健康面のリスクも軽減されやすいです。歯列矯正は、審美的な変化だけでなく、機能的な改善も期待できる治療方法です。
口元がスッキリとして顔つきが若々しくなる
前歯の突出や受け口、オーバーバイトといった歯並びの問題は、顔の印象に大きな影響を与えやすいです。このような問題を歯列矯正で整えると、口元が引き締まり、調和の取れた表情を手に入れられます。
また、歯の位置が正されると、顔全体のバランスが改善されるため、明るく若々しい印象や落ち着いた雰囲気になります。
なお、前歯だけの部分矯正については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:前歯だけの部分矯正とは?矯正するメリット・デメリットや矯正方法をご紹介します!

歯列矯正の治療を受ける際の注意点
次は、歯列矯正の治療を受ける際の注意点について解説します。
- 抜歯または非抜歯で顔のバランスは変わる
- 仕上がりイメージを共有する
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
抜歯または非抜歯で顔のバランスは変わる
抜歯を選ぶと、歯が収まるスペースが確保され、結果的に顔全体のバランスが整いやすくなります。一方で、非抜歯の場合、スペース不足により歯が前方に突出してしまう場合もあるため、慎重な判断が必要です。
どちらの方法が適しているかは、個々の歯並びや顎の形状によって異なります。このため、治療をはじめる前に担当の医師と十分に相談して、最適な治療計画を立てましょう。
仕上がりイメージを共有する
歯列矯正をはじめる際には、治療後の仕上がりについて医師と事前の話し合いが大切です。たとえば、Eラインの改善を目指していても、骨格や歯並びの状態によっては希望通りの結果が得られない場合もあります。このため、治療を進める前に、現実的なゴールの共有が後悔のない治療につながります。
また、前から見た印象を特に改善したい場合には、部分矯正も方法のひとつです。それぞれの治療法のメリットやデメリットを理解したうえで、自分に最適なプランを見つけましょう。

歯列矯正後の顔の変化でよくある3つの質問

最後に、歯列矯正後の顔の変化でよくある質問について紹介します。
- 質問1.歯列矯正で顔が変わるのはいつ?
- 質問2.歯列矯正後の顔の変化が起こりやすい症状は?
- 質問3.歯列矯正で顔以外に起こる変化は?
それぞれの詳しい内容についてみていきましょう。
質問1.歯列矯正で顔が変わるのはいつ?
歯列矯正による顔つきの変化は、治療内容や個人差によりますが、半年〜1年程度で効果を実感しはじめるケースが多いです。また、出っ歯や前歯が突出している状態を矯正する場合、口元や輪郭に変化を早く感じる傾向があります。
しかし、歯の移動は月に0.3〜1mm程度と非常にゆっくり進むため、大きな変化を感じるまでには、ある程度の期間が必要です。治療期間は通常2〜3年かかるため、顔の印象が変わる過程も徐々に進行していきます。
矯正の効果は、治療終了後にさらに実感できる場合が多く、長期的な視点で変化を見守りましょう。
質問2.歯列矯正後の顔の変化が起こりやすい症状は?
歯列矯正後に顔の変化が起こりやすい症状としては、以下のとおりです。
- 受け口
下顎が前方に出ているため横顔が特徴的になるが、矯正治療をすれば顔全体のバランスが整い、横顔が改善される場合がある
- 出っ歯
前歯が突出して口元が閉じにくい状態。治療により前歯が引っ込み、自然に口が閉じるようになると、シャープな印象を与えられるようになる
- 開咬
前歯が噛み合わない状態は、顔のバランスに影響をおよぼしやすい。しかし、矯正によって適切な噛み合わせが実現すれば、フェイスラインが整う可能性がある
それぞれの問題に対する治療効果は個人差があるため、具体的な結果を求める場合は専門医との相談が欠かせません。
質問3.歯列矯正で顔以外に起こる変化は?
歯列矯正は顔の印象を変えるだけでなく、全身の健康や生活の質にも多くの影響を与えやすいです。噛み合わせの改善により、食事の際に食材をしっかりと噛めるようになり、胃腸への負担が軽減されます。このため、消化がスムーズになり、消化不良のリスクも減少する可能性が高いです。
また、歯並びの乱れが原因で発音が難しかった場合、矯正治療を受けることで滑舌が向上して、会話がよりスムーズになるケースが期待されます。さらに、歯並びが整うと口内の清掃がしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクも軽減されやすいです。
自然に口を閉じられるようになるため、口呼吸のリスクが減少して、口臭やウイルス感染の防止にもつながります。矯正治療は美容面だけでなく、健康面でのメリットも多岐にわたります。

まとめ

本記事では、歯列矯正後に変わりやすい顔の変化や治療を受ける際の注意点をご紹介しました。
歯列矯正とは、不正な歯並びを理想的な配置に整えて、口元や顔の印象に変化をもたらす治療法です。治療後には、スマイルラインやEラインが整い、エラが目立たなくなるような変化が期待できます。
さらに、顎の位置や角度が変わり、口を閉じやすくなるため、顔全体がスッキリして、よりバランスの取れた顔立ちを実現できます。口が常に開いている状態も解消されるため、乾燥や口呼吸による健康面のリスクも軽減されやすいです。
治療をはじめる際には、抜歯か非抜歯のどちらの方法が自分に適しているのか、歯科医としっかり相談して決めてください。

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