【歯科技工のプロが教える】はずした入れ歯の正しい保存方法は?手入れで注意すべきポイントもご紹介!

入れ歯の悩み

入れ歯は、自分の歯と同様に毎日の手入れが必要です。また、洗浄後は適切な環境で保存することもかかせません。正しく保管すれば、入れ歯の変形や破損を避け、長期間にわたって快適に使用することが可能です。

本記事では、入れ歯を長持ちさせるための保存方法や注意すべきポイントを紹介します。入れ歯の保管に困っている方は、是非この記事を参考にしてみてください。

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入れ歯の保存方法は2種類

入れ歯の保存方法は2種類

入れ歯の保存方法は、主に2種類あります。

  • 水中保管
  • 洗浄液中保管

水中保管は、入れ歯を水道水に浸して保管する方法です。一方で洗浄液中保管は、洗浄剤を水に溶かし、その溶液に入れ歯を浸けておく方法です。

入れ歯は口腔内で使用するために設計されているので、適度な湿気が欠かせません。材質により、乾燥すると割れやすくなる性質があるため、常に湿潤状態を保つことが大切です。

保険義歯の場合

保険義歯の場合、材質は主にレジン(医療用プラスチック)を使用しています。

レジンは乾燥に弱く、乾燥すると亀裂や割れのリスクが高まります。使用後は、汚れを優しく洗い流し、水または洗浄剤を溶かした洗浄液に浸けて保管しましょう。

保険外義歯の場合

保険外義歯の場合、保険義歯と同様の材料を使用しているケースもありますが、より吸水性が低く破損に強いタイプも存在します。

その場合、乾燥保管(液体に浸けずに保管する方法)でも問題ありません。しかし、使用者が入れ歯を見ただけで、材質を正確に判断するのは難しいこともあります。

かかりつけの歯科医院で保管方法を確認するか、わからない場合は洗浄後、水や洗浄液に浸けて保管することを推奨します。

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入れ歯の正しい保存方法は3ステップ

入れ歯の正しい保存方法は3ステップ

続いて、入れ歯の正しい保存方法を紹介します。次の3ステップです。

  • ステップ1:入れ歯の汚れを洗い流す
  • ステップ2:保存容器に入れて水や洗浄剤に浸す
  • ステップ3: 衝撃や温度変化の少ない場所で保管する

項目ごとに詳しく見ていきましょう。

ステップ1:入れ歯の汚れを洗い流す

食べかすが残ると細菌の繁殖を促し、口臭や虫歯、歯周病の原因になるだけでなく、入れ歯自体にもダメージを与えます。金属部分のサビやプラスチック部分の劣化を防ぐためにも、以下の手順で清掃しましょう。

  1. 水道水を使って食べかすや唾液などを洗い流します。水温はぬるま湯程度が適切です。
  2. 柔らかいブラシや指を使用して汚れを優しく落とします。入れ歯専用の洗浄剤を使用するとより効果的です。
  3. 洗浄後は水道水でしっかりとすすぎます。洗浄剤が残ってしまうと、口腔内を刺激する可能性があるので注意が必要です。
  4. 最後に、清潔なタオルやティッシュで水分を拭き取ります。

毎食後に清掃するのが理想的ですが、もし難しい場合は、少なくとも一日一回、就寝前の清掃を心がけましょう。

なお、入れ歯の正しい手入れ方法は、次のページでも詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

関連記事:【基本編】入れ歯の正しい手入れ方法は5つ|間違った仕方や手入れの手順、よくある質問をご紹介!

ステップ2:保存容器に入れて水や洗浄剤に浸す

入れ歯を外して保管する際は、保存容器に入れて水や洗浄剤の入った液に浸しておきましょう。

専用の保存容器は、透明ではない色つきの容器を選ぶのがおすすめです。誤って捨てたり、子供やペットに触られたりするリスクを低減できます。

なお、弊社では「どんなタイプでも心を込めて作った入れ歯を長く使っていただきたい…!」という想いから、すべての入れ歯に使用できる入れ歯洗浄剤とマウスピース洗浄剤を発売しています。

歯科技工物のことを知り尽くした歯科技工所である弊社が提供する「入れ歯想い」について詳細情報が気になる!という方は、以下の商品ページをチェックしてみてください。

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ステップ3: 衝撃や温度変化の少ない場所で保管する

入れ歯は温度変化や物理的な衝撃に弱く、これらを避けるための保管場所選びが重要です。

急激な温度変化は入れ歯の材質を変形させる可能性があるため、直射日光や暖房器具の近くなど、温度が大きく変わる場所は避けましょう。また、衝撃を与えると入れ歯や保管容器が破損する恐れがあるため、落下しない安定した平らな場所で保管することが望ましいです。

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入れ歯の手入れで注意すべき5つのポイント

入れ歯の手入れで注意すべき5つのポイント

入れ歯の正しい保存方法が理解できたところで、次は手入れで注意すべきポイントを紹介します。主に5つ挙げられます。

  1. 熱湯やアルコール消毒は避ける
  2. 入れ歯用ブラシで磨く
  3. 1日1回は入れ歯洗浄剤に浸ける
  4. 部分入れ歯と総入れ歯用で洗浄剤を使い分ける
  5. 落下による破損に注意する

それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

1.熱湯やアルコール消毒は避ける

入れ歯は多くの場合、レジンと呼ばれるプラスチック素材で作られており、高温に弱い性質があります。熱湯に入れ歯を浸すことは、レジンが変形しやすくなるため避けるべきです。

同様に、アルコール消毒もレジンの劣化や変形を加速させる可能性があるため推奨しません。適切な入れ歯の洗浄には、水またはぬるま湯を用いることが望ましく、これにより入れ歯の長期間の使用と快適性が確保されます。

2.入れ歯用ブラシで磨く

入れ歯用ブラシは通常の歯ブラシとは異なり毛先が硬くなっており、頑固な汚れを効果的に落とせます。また、ブラシの柄が太く持ちやすく、握力の弱い方でもしっかりと磨きやすい工夫がされています。

さらに、多くの入れ歯用ブラシには2ヶ所の植毛部分があり、それぞれの部分が異なる毛の固さや形状を持つのも特徴です。大きい植毛部分は一般的な固さで、入れ歯の広い部分を磨くのに適しています。

一方、小さい植毛部分は入れ歯の複雑な溝や端の部分を磨くのに適しています。そのため、通常の歯ブラシでなく、入れ歯の手入れを効率的に行うための工夫が多く施されている入れ歯用ブラシの利用をおすすめします。

3.1日1回は入れ歯洗浄剤に浸ける

入れ歯はプラスチック素材でできており、水分と共に細菌も吸収してしまう性質をもっています。その結果、カンジダ菌などのカビの原因菌が増殖し、歯周病の悪化や入れ歯自体の不快感に繋がることがあります。

また、清潔に磨いた歯にも汚れや細菌が移るため、ブラッシングの効果も落としかねません。そのため、1日1回は入れ歯洗浄剤でしっかりと入れ歯を浸け、細菌やバイオフィルムを化学的に除去することが大切です。

4.部分入れ歯と総入れ歯用で洗浄剤を使い分ける

部分入れ歯と総入れ歯では材質や構造が異なることから、それぞれに最適な洗浄剤を選ぶのが大切です。特に部分入れ歯には金属の部分が含まれるため、総入れ歯用の洗浄剤を使用すると金属が変色するリスクがあります。

また、変色は見た目の問題だけではなく、長期的には金属部分の耐久性に影響を与え、入れ歯の寿命を縮める恐れもあります。入れ歯用の洗浄剤を選ぶ際は、製品のラベルや説明書をしっかり確認して、自分が使用している入れ歯のタイプにあった洗浄剤を選びましょう。

なお、次のページでは、入れ歯洗浄剤における部分入れ歯と総入れ歯の違いや選び方を詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

関連記事:入れ歯洗浄剤における「部分入れ歯」と「総入れ歯」の違いは?目的別の選び方やおすすめの洗浄剤をご紹介!

5.落下による破損に注意する

入れ歯は落下したり、外的な衝撃を受けたりすると破損するリスクが高いため、取り扱いに注意が必要です。一度破損してしまった入れ歯は修復が難しく、接着剤などの応急処置も避けてください。

その理由は、入れ歯が精密に作られており、わずかなズレや変形でも口内のフィット感に影響を及ぼすからです。また、不完全な状態で使用を続けると、自然な歯や歯茎に不必要な負担や痛みを引き起こす可能性もあります。

入れ歯が破損した場合は、自己判断での修理は避け、速やかに歯科医院にて修復や調整を受けましょう。

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入れ歯の保存方法でよくある5つの質問

入れ歯の保存方法でよくある5つの質問

ここでは、入れ歯の保存方法でよくある質問にお答えします。

  • 質問1.起きている間は入れ歯を入れておくべき?
  • 質問2.入れ歯はどれくらいの期間使用できる?
  • 質問3.使わなくなった入れ歯の長期保存はできる?
  • 質問4.就寝時は入れ歯を外した方がいい?
  • 質問5.入れ歯のいやな臭いを防ぐ方法は?

それぞれ詳しく見ていきましょう。

質問1.起きている間は入れ歯を入れておくべき?

基本的には手入れの時間を除き、起床から就寝までの間、入れ歯を装着しておくことをおすすめします。

入れ歯の装着は、食事や会話に必要なだけでなく、体のバランスを保つためにも重要です。人間の体は、重い頭部を細い首や背骨、そして足の裏で支えています。

適切にフィットした入れ歯を装着することで、顎の位置が安定し、それに伴い頭部の位置も安定します。これにより体全体のバランスを保つことができ、ふらつきが減少します。

また、万が一転倒するリスクが生じた場合、しっかりと力を入れて噛み合わせることができれば、転倒を防ぐ助けにもなります。

質問2.入れ歯はどれくらいの期間使用できる?

入れ歯は日々の使用と経年変化により、徐々に劣化していきます。

一般的には、プラスチック製の入れ歯は約3〜5年、金属製の入れ歯は約5年以上の使用が目安です。しかし、これはあくまで一般的な目安であり、個人の使用状況や手入れ方法によって異なります。

10年以上同じ入れ歯を継続して使用することも可能ですが、長期間使用することで口腔内の細菌が増加し、歯周病や口臭の原因となることがあります。また、長期間の使用により入れ歯が摩耗することで、噛み合わせの問題が発生するリスクも高まります。

適切な時期に入れ歯を交換するのは、口腔内の健康を維持するためにも重要です。定期的な歯科診療を通じて、入れ歯の状態をチェックし、必要に応じて新しい入れ歯への交換を検討しましょう。

質問3.使わなくなった入れ歯の長期保存はできる?

短期間であれば水に浸して保存し、毎日水を交換する方法が有効ですが、長期にわたる保管の場合は入れ歯が傷むリスクが高まります。

入れ歯は乾燥に弱く、水分がない環境ではヒビ割れや自然破損の恐れがあります。しかし、長期間となると、水の中に入れ続けて保管していても、変形する事例が報告されています。従って、確実な長期保存方法は現状では存在していません。

また、入れ歯を使用しない期間が長くなると、口腔内の状態が変化し、以前の入れ歯が合わなくなる可能性があります。人間の口腔内は常に変化しており、歯や顎の骨の移動により、あわなくなることが起こりえるのです。

そのため、長期間の保存や使用を再開する場合は、無理に使用せず、作成した歯科医院に相談しましょう。

質問4.就寝時は入れ歯を外した方がいい?

主に次の3つの効果が得られるため、基本的に就寝時は入れ歯を外して保管しておきましょう。

  1. 口腔内の休息を促進:長時間の入れ歯装着は、あごや歯茎に負担をかける可能性があります。就寝時は入れ歯を外し、口腔内の骨や粘膜に休息を与えることが大切です。
  2. 細菌の増殖を抑制:睡眠中は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすくなります。入れ歯を外すことで、細菌の増殖を抑え、口腔内環境を清潔に保てます。
  3. 誤飲のリスクを減少:特に小型の部分入れ歯では、就寝中の誤飲リスクが考えられます。安全のため、就寝時には入れ歯を外しましょう。

質問5.入れ歯のいやな臭いを防ぐ方法は?

入れ歯のいやな臭いを防ぐ、主な対処法は次の5つです。

  • 毎日の手入れを徹底する
  • 正しい手入れ方法を取り入れる
  • 大部分が金属でつくられている入れ歯を使用する
  • 歯科医師に相談する
  • 専用の入れ歯洗浄剤を使用する

次のページでは、入れ歯における臭いの原因やいやな臭いを防ぐ対処法を詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:入れ歯における臭いの原因は5つ|いやな臭いを防ぐ対処法やよくある質問もご紹介します!

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まとめ

まとめ

入れ歯を快適に、そして長く使用するためには、日々の手入れが不可欠です。

まず、入れ歯を外して洗う際は、落下による破損や排水溝への流失を防ぐために、洗面器などの水が溜まる容器を下に置きましょう。そして、入れ歯を水で優しく洗浄します。

洗浄後の入れ歯は、乾燥による変形やひび割れを防ぐために、基本的に水に浸して保管することが重要です。保管用の水は毎日交換して清潔に保ちましょう。

また、熱湯やアルコールの消毒は避け、汚れが気になる場合は入れ歯洗浄剤の使用がおすすめです。

弊社では「どんなタイプでも心を込めて作った入れ歯を長く使っていただきたい…!」という想いから、すべての入れ歯に使用できる入れ歯洗浄剤とマウスピース洗浄剤を発売しています。

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