【基本編】入れ歯の正しい手入れ方法は5つ|間違った仕方や手入れの手順、よくある質問をご紹介!

入れ歯の悩み

入れ歯は日々の洗浄や手入れを怠ると雑菌が繁殖し、破損するリスクが増えるだけでなく、お口や身体に悪影響をもたらす場合もあります。

そこで、本記事では 入れ歯の手入れでよくある間違った仕方や正しい手入れ方法、具体的な流れについて詳しく解説します。また、入れ歯の手入れでよくある質問もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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入れ歯の手入れを怠るとどうなる?

入れ歯の手入れを怠るとどうなる?

入れ歯も自分の歯と同じように、毎日の清掃とメンテナンスが欠かせません。入れ歯に食べかすやプラーク(歯垢)が付着し、これらの汚れを放置すると、雑菌の繁殖や臭いの原因となります。

さらに、カビの1種であるカンジダによる感染や口内炎のリスクも高まるのです。特に、要介護認定を受けたお年寄りの入れ歯からは、誤嚥性肺炎などの呼吸器感染症の原因となる細菌が見つかることも報告されています。

また、入れ歯はデリケートなもので、適切なメンテナンスを怠ると変形や破損の危険があり、これが口の中での違和感や噛む機能、発音に影響を及ぼすこともあります。そのため、入れ歯の適切な手入れは口腔内の健康はもちろん、全身の健康を守るためにも大変重要です。

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入れ歯の手入れでよくある間違った仕方は5つ

入れ歯の手入れでよくある間違った仕方は5つ

入れ歯の手入れでよくある間違った仕方として、次の5つが挙げられます。

  • 熱湯に入れる
  • 硬い歯ブラシやスポンジを使う
  • 歯磨き粉で磨く
  • 漂白剤に浸ける
  • 入れ歯洗浄剤に長時間浸ける

いずれも間違えやすい内容ばかりです。それぞれの詳しい内容を解説します。

1.熱湯に入れる

「洗浄剤がない」や「洗浄セットを忘れた」といった場合に、入れ歯を熱湯で消毒しようと考える方も少なくありません。しかし、この方法は大変危険です。

たしかに、熱湯での消毒は多くの菌を殺す効果があると科学的には分かっています。しかし、入れ歯には、高温に弱いプラスチックや樹脂が使われており、熱湯に入れると変形したり劣化したりして、使えなくなってしまう場合があります。

実際に熱湯で消毒したことで、入れ歯が使えなくなったという声も多くあります。入れ歯の手入れは指定された方法で必ず行うようにしましょう。

2.硬い歯ブラシやスポンジを使う

色素付着や歯の黄ばみ、歯石といった入れ歯の頑固な汚れは取り除くのが難しいことが多いです。特に、目立つ部分が入れ歯の場合は、誰もがきれいにしたくなるでしょう。

しかし、入れ歯の手入れにおいて無理をしてはいけません。毛先の硬いブラシや研磨性の高いメラミンスポンジを使用すると、入れ歯の表面を傷つけるリスクがあり、最終的には破損へとつながります

汚れが頑固に残る場合は、焦らずに専用の洗剤を使用してみることをおすすめします。それでも取れない場合は、医師や専門家に助言を求めてみてください。

3.歯磨き粉で磨く

多くの方が陥りがちな誤解が、入れ歯の手入れに普段の歯ブラシや歯磨き粉を使用することです。特に、研磨剤が含まれる歯磨き粉での手入れは絶対に避けなければなりません。

その理由は、歯磨き粉の研磨剤が入れ歯を削ってしまい、噛み合わせが悪くなったり、早く劣化したりするからです。このような状態が続くと、入れ歯のフィッティング作業が必要となり、大きな負担となります。

このようなトラブルを防ぐためも、入れ歯の手入れには専用の洗浄剤やブラシを用いることが最も効果的です。正しい手順での手入れを心掛けて入れ歯の寿命を延ばし、快適な使用を継続しましょう。

4.漂白剤に浸ける

漂白剤に浸けるのも間違った方法の1つです。漂白剤は強力な化学物質であり、入れ歯の表面や素材にダメージを与える可能性があります。具体的には、入れ歯の色が変色したり、表面が荒れたりすることが考えられます。

さらに、漂白剤に浸け続けることで、入れ歯の変形も引き起こしかねません。その結果として、入れ歯の変形はフィット感を損ない、不快な装着感や痛みを引き起こす場合があります。

5.入れ歯洗浄剤に長時間浸ける

入れ歯洗浄剤は「長く浸けるほど汚れや細菌が完全に取り除かれる」と勘違いをしている方も少なくありません。実際には、過度に長時間洗浄剤に浸けるとその液体の中で細菌が繁殖しやすくなり、細菌の数が増加するリスクがあるのです。

特に、就寝前は古い洗浄液に再度浸けるのではなく、新しい洗浄液を用意して浸けるようにしましょう。これにより、夜間を通じて安心して入れ歯を清潔に保てるだけでなく、口腔内の健康も維持できます。

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入れ歯の正しい手入れ方法は5つ

入れ歯の正しい手入れ方法は5つ

入れ歯は繊細な装置であり、正しい方法で手入れしないと、変形や変色、破損を招く恐れがあります。入れ歯の正しい手入れ方法として、次の5つが挙げられます。

  • 柔らかいタイプの歯ブラシでブラッシングする
  • こまめに水またはぬるま湯につけておく
  • 食事をする度に洗浄する
  • 定期的に調整する
  • 就寝前に入れ歯洗浄剤を利用する

今一度、それぞれの方法について理解を深めましょう。

1.柔らかいタイプの歯ブラシでブラッシングする

入れ歯のやわらかい部分はスポンジやガーゼ、柔らかいタイプの歯ブラシで優しくこすります。片まひなどで片方の手が使えない場合は、固定できる吸盤付きブラシがあると便利です。

また、市販の歯ブラシで入れ歯の洗浄は問題ありませんが、入れ歯専用のブラシを利用するとより効率的に洗浄ができます。入れ歯専用ブラシは、通常の歯ブラシと同じナイロンの毛を持ちながらも、より固く設計されており、入れ歯の頑固な汚れを効果的に磨き落とすことができます。柄も太く、持ちやすく力を入れて磨きやすいのが特徴です。

2.こまめに水またはぬるま湯につけておく

入れ歯を水またはぬるま湯につけておくことに「恥ずかしい」と感じる人も少なくありません。しかし、入れ歯は乾燥すると、材質が劣化しやすくなります。特に、アクリル樹脂などでできている部分は、乾燥するとひび割れや変形のリスクが増えます。

このような状態になると、フィット感が悪くなったり、痛みを感じたりする可能性もあるのです。友人や家族など、身近な人に対しては理解を求めながら、こまめに浸ける習慣を持つことをおすすめします。

3.食事をする度に洗浄する

入れ歯は、元々の歯と同じように毎食後のお掃除が必須です。食べ物のカスが入れ歯に付着し続けると口臭の原因となり、入れ歯と歯ぐきの間での痛みが生じるリスクも増えます。

そのため、食後や服薬後はこまめに入れ歯の清掃を行い、食べ物のカスや細かな粒子を残さないようにしましょう。洗浄の際は、洗面器に水またはぬるま湯を張ったうえで行うことで、落として破損するリスクを避けることができます。

そして、入れ歯専用のブラシを使い、歯磨き粉などの研磨剤を使わずにやさしく磨くことで、入れ歯の摩耗や寿命の短縮を防ぐことができます。毎日の丁寧な手入れが、入れ歯を長持ちさせるポイントです。

4.定期的に調整する

入れ歯の正しい手入れ方法として、定期的な調整も欠かせません。入れ歯のサイズや部位に応じて、調整頻度や手入れの方法は異なるものの、1か月に1度程度の調整が必要です。

また、入れ歯の調整だけでなく、残っている歯の健康管理も非常に重要です。歯周病のリスクが高い患者さんや入れ歯に特別な調整が必要な場合は特に注意しなければなりません。

さらに、入れ歯がフィットしていないと、痛みや不快感が生じる場合があります。定期的なチェックと調整を通じて快適に入れ歯を使用し、残った歯を守ることが大切です。

5.就寝前に入れ歯洗浄剤を利用する

入れ歯に付着した汚れや菌を、物理的な義歯ブラシの洗浄だけで落とすのは難しいです。そのため、毎日1回、就寝前の「入れ歯の洗浄=洗浄剤の使用」が基本となります。

ただし、洗浄剤を切らしたり、旅行先で忘れたりした場合に、熱湯や漂白剤に浸けると変色や変形のもとになるので避けましょう。なお、弊社では、歯科技工士が考えた入れ歯洗浄剤「入れ歯想い」をおすすめしています。

取れにくかった入れ歯の汚れが驚くほどきれいに取れるのはもちろんのこと、体に安全で環境にも優しいのが特徴です。さらに、有機酸により歯石などの頑固な汚れを落とし、義歯臭を除去できます。

次のページでは、入れ歯の正しい手入れ方法を解説しています。また、間違った仕方や手入れの手順、よくある質問をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事:【基本編】入れ歯の正しい手入れ方法は5つ|間違った仕方や手入れの手順、よくある質問をご紹介! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

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就寝前に入れ歯を手入れする際の流れは3ステップ

就寝前に入れ歯を手入れする際の流れは3ステップ

入れ歯の正しい手入れ方法について理解できたところで、次は就寝前に入れ歯を手入れする際の流れをご紹介します。大まかな流れは次の3ステップです。

  1. 容器に水またはぬるま湯を張る
  2. 義歯用ブラシで磨く
  3. 入れ歯洗浄剤を溶かした水またはぬるま湯に浸ける

ステップごとの詳しい内容をみていきましょう。

ステップ①容器に水またはぬるま湯を張る

まず、部分入れ歯と総入れ歯のいずれも取り外した後に、落下による破損のリスクを避けるためにも洗面器や容器を用意して水またはぬるま湯を張り、その中で洗浄します。また、排水溝に入れ歯が落ちるのを防ぐための予防策としても有効です。なお、熱湯は入れ歯を損傷させる可能性があるため、使わないようにしましょう。

ステップ②義歯用ブラシで磨く

次に、水道水を流したまま、入れ歯用の歯ブラシと洗浄剤を使用して容器の上で優しく磨きます。手の平にのせ、ゴシゴシと力を入れすぎず、丁寧に汚れを落とすことが大切です。

特に、歯肉に接する入れ歯の内面や、部分入れ歯のクラスプなどは汚れが残りやすいので注意しましょう。さらに、お薬などを飲んだ後は細かな粒子が入れ歯に付着して汚れているケースも少なくありません。目視でも汚れを確認しながら、丁寧に入れ歯を磨きましょう。

ステップ③入れ歯洗浄剤を溶かした水かぬるま湯に浸ける

そして、コップに水またはぬるま湯と入れ歯洗浄剤を入れ、外した入れ歯を浸けておきます。これにより、ひび割れや変形、着色や臭いなどを防ぎ、入れ歯を清潔に保つことができます。

また、洗浄剤に浸ける際は、毎回新しい洗浄剤を使用してください。もし、複数の入れ歯を持っている場合は個別に洗浄剤に浸けるようにしましょう。

なお、入れ歯は歯ぐきに吸着をしているため、つけたままにしていると歯ぐきの血行を悪くします。適度に歯ぐきを休ませるためにも、就寝前には必ず外して手入れすることをおすすめします。

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入れ歯の手入れでよくある4つの質問

入れ歯の手入れでよくある4つの質問

ここでは、入れ歯の手入れでよくある質問を4つご紹介します。それぞれについて詳しく回答します。

質問①入れ歯の主な種類とは?

入れ歯は部分入れ歯と総入れ歯の2種類に分かれ、それぞれ保険適用のものと自費診療のものが存在します。以下は、自費診療の入れ歯の種類とその特徴です。

  • 磁石の義歯:義歯の裏側と歯根に磁石を使用して安定させる。取り外しやすく、装着感が良い。大きな手術は不要だが、磁石を取り付けるための歯根が必要。
  • ロケーター義歯:インプラントを用いて義歯を固定。通常の総入れ歯よりも快適で、コストを抑えることができる。安定しており、外れる心配が少ない。
  • 金属床義歯:薄くて丈夫な金属製。違和感が少なく、料理の温度や味を感じることができる。衛生的で汚れや雑菌がつきにくい。
  • ノンクラスプデンチャー: 金属のバネを持たない部分入れ歯。歯茎の色に近いプラスチック製で、目立たず自然に見える。違和感が少なく、人気がある。

さまざまな自費診療の入れ歯のタイプがあり、それぞれが独自の特性や利点を持っています。

質問②入れ歯の修理や買い換えを検討するべき目安は?

入れ歯は消耗品であり、適切に手入れをしても修理や買い換えの必要が出てきます。具体的には、プラスチック製の入れ歯で「約3〜5年」、金属製の入れ歯は「約5年以上」が目安です。

10年以上同じ入れ歯を使用することも可能ですが、衛生的に推奨されず、細菌の繁殖や歯周病、口臭の原因となるリスクが増えます。さらに、長期使用で噛み合わせの問題や摩耗が生じる可能性があり、それに伴いさまざまな健康上のデメリットが考えられます。定期的に歯科医院でのチェックや入れ歯の更新を検討することが大切です。

質問③入れ歯の使用で痛みが出てきたときの対処法は?

入れ歯に不快感や痛みを感じた場合、すぐに歯科医院での受診をおすすめします。入れ歯は時間とともに劣化し、さらにはお口の状態も変化します。入れ歯の使用に関して特に問題ないからとそのままにせず、医師による定期的なチェックを受けるようにしてみてください。

質問④プラスチックの入れ歯を保管する際の注意点は?

プラスチック製の入れ歯の保管には注意が必要です。使用後はきちんと洗浄し、水を含んだ容器での保存が推奨されます。熱や乾燥はプラスチックにとって敵であり、入れ歯の変形やひび割れを避けるため、湿度を保つことが重要です。

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まとめ

まとめ

入れ歯を長く安全に使うには、毎日の手入れが欠かせません。入れ歯の手入れを怠るとさまざまな問題が生じる可能性があります。

特に「歯磨き粉で磨く」や「入れ歯洗浄剤に長時間浸ける」などは、間違った手入れ方法として取り入れがちです。今回ご紹介した正しい手入れ方法と流れを参考に、何歳になっても清潔感のあるお口を維持していきましょう。

弊社では、「どんなタイプでも心を込めて作った入れ歯を長く使っていただきたい…!」という想いから、すべての入れ歯に使用できる入れ歯洗浄剤とマウスピース洗浄剤を発売しています。詳細情報が気になる!という方は、以下の商品ページをチェックしてみてください。

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