【歯科技工のプロが教える】入れ歯安定剤を使うとネバネバが残る?きれいに取り除く方法や注意点をご紹介!

入れ歯の悩み

入れ歯安定剤は、入れ歯の裏面につけて入れ歯の安定性を向上させる便利なアイテムです。しかし、適切に使用しないと、口腔内にネバネバが残ったり、歯ぐきや顎にダメージを与えたりするリスクがあります。

この記事では、入れ歯安定剤のネバネバをきれいに取り除く方法や、入れ歯安定剤の種類を紹介します。入れ歯安定剤による口腔内の悩みがある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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入れ歯安定剤を使うと口腔内にネバネバが残る理由

入れ歯安定剤を使うと口腔内にネバネバが残る理由

入れ歯安定剤を使用した際、入れ歯を外したあと歯肉や粘膜に残った入れ歯安定剤がなかなか取れず、口腔内の手入れが難しいと感じる方は少なくありません。特にクリームタイプの安定剤は、水に濡れると粘着性が強まり、膨張してネバネバ感が増すため、さらに取り除きにくくなります。

入れ歯安定剤が残った状態が続くと、細菌の繁殖を促し、歯や歯ぐき、入れ歯自体にダメージを与える可能性があります。そのため、入れ歯を外したあとは、入れ歯安定剤をきれいに取り除き、入れ歯や歯ぐきを清潔に保つことが非常に重要です。

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入れ歯安定剤の種類は4つ

入れ歯安定剤の種類は4つ

入れ歯安定剤の種類は、主に4つあります。

  • クリームタイプ
  • クッションタイプ
  • 粉末タイプ
  • シートタイプ

状況に応じて適切に使い分けられるように、それぞれ詳しくみていきましょう。

1.クリームタイプ

粘着性のあるクリームを入れ歯の内面に塗る入れ歯安定剤です。柔らかく伸びがいいため、適合性のよい入れ歯にも使用できます。

チューブから出して指で伸ばせば簡単に使えるため、外出先でも手軽です。また、粘着力が強いため外れにくいのも特徴です。

時間が経過するとクリームが溶け出す可能性がありますが、万が一飲み込んでも支障はありません。

2.クッションタイプ

厚みのある材料を入れ歯の内側に塗る入れ歯安定剤です。歯ぐきとあっていない不適合な入れ歯に使用しますが、そのような状態の入れ歯は作り直しや修理が必要なため、常用は推奨しません。

吸着力よりもクッション性に優れており、入れ歯による痛みを緩和しますが、あまり厚く塗り過ぎると入れ歯が浮いてしまい、安定しなくなるので、使用量には注意が必要です。

3.粉末タイプ

水や唾液で粘着力が出てくる入れ歯安定剤です。レジン床・金属床のどちらにも対応しています。

粉末形状のため薄く塗布でき、入れ歯と歯ぐきの適合にほとんど影響を与えません。濡らした入れ歯全体に均等に粉を振りかけることで、効果を発揮します。

使用時に口腔内の違和感が少ない入れ歯安定剤ですが、外出時の使用には少々不便なタイプです。

4.シートタイプ

1㎜程度の厚みを持つフェルトのような素材で、入れ歯と歯ぐきの間に挟み込む入れ歯安定剤です。厚みがあるため、歯ぐきと適合性がよい入れ歯には使用できません。

商品には、濡らした入れ歯に貼るタイプや、シートを予め濡らしてから貼るタイプがあり、形状も入れ歯に合わせてあるものや、自分でカットが必要なものまでさまざまです。上の入れ歯用、下の入れ歯用として上下で仕様が分かれているものもあるため、使用方法をよく確認しましょう。

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入れ歯安定剤をきれいに取り除く方法

入れ歯安定剤をきれいに取り除く方法

歯肉や粘膜に入れ歯安定剤が残っている場合は、水でぬらす前に乾いたガーゼなどで拭き取りましょう。その後、水を含ませたスポンジブラシややわらかい歯ブラシを使用して、歯肉や粘膜を清掃します。

歯が残存している場合は、ワンタフトブラシなどで丁寧に歯磨きします。入れ歯に残っている入れ歯安定剤も、ティッシュペーパーやガーゼで拭き取ったあと、義歯用ブラシで水洗いしましょう。

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入れ歯安定剤を使用する際の注意点は5つ

入れ歯安定剤を使用する際の注意点は5つ

入れ歯安定剤を使用する際の注意点を紹介します。主に次の5つが挙げられます。

  • 長期間使い続けない
  • 入れ歯の材質によっては使用できない
  • 口腔内に異常がある場合は使用しない
  • 就寝時は使用しない
  • 入れ歯安定剤が残らないように洗浄する

項目ごとに詳しくみていきましょう。

1.長期間使い続けない

入れ歯安定剤は一時的な使用にはとても便利ですが、長期間使い続けるのはおすすめしません。もし、長期間にわたって入れ歯安定剤を使用すると、噛み合わせが悪くなったり、顎の骨が瘦せてしまったりするリスクがあります。

これらの変化は、現在使用している入れ歯のフィット感を損なうだけでなく、新しい入れ歯を作成する際に、正しい噛み合わせを取り戻すトレーニング期間が追加で必要になる可能性も出てきます。

従って、入れ歯安定剤は歯科医の指導の下、または緊急時の一時的な対策として活用しましょう。入れ歯に不具合がある場合、まずは歯科医院で原因を特定してもらうのが大切です。

2.入れ歯の材質によっては使用できない

コンフォート床のようなシリコンで加工されている入れ歯には、入れ歯安定剤は使用できません。

もし、このような入れ歯に使用すると、剥がす際にシリコンまで剥がれてしまったり、シリコンにくっついてしまいきれいに入れ歯安定剤を取り除けなくなったりする可能性があります。

入れ歯安定剤の使用を検討している場合、必ず商品内容を確認し、自分の入れ歯に適しているかどうかをご確認ください。

3.口腔内に異常がある場合は使用しない

入れ歯安定剤に含まれる成分により、発赤や腫れ、痒みなどの症状があらわれるケースがあります。口腔内に何か異常がある場合は、すぐに使用をやめて、歯科医や医師、薬剤師に相談しましょう。

4.就寝時は使用しない

就寝中は、歯茎を休めるためにも入れ歯を外すことを推奨します。しかし、中には就寝時でも入れ歯を装着したい方もいるでしょう。

もし入れ歯を装着して就寝する場合は、入れ歯安定剤の使用は避けてください。時間が経つにつれて入れ歯安定剤が溶け出し、喉に流れ込むと窒息のリスクが生じる可能性があります。

就寝時は、安全を最優先に考え、必ず入れ歯安定剤を剥がしましょう。

5.入れ歯安定剤が残らないように洗浄する

入れ歯安定剤の種類によっては、粘着力がとても強く、剥がしにくいものもあります。乾いたガーゼなどで拭き取ってから義歯ブラシを使用して、入れ歯の表面がツルツルになるまで綺麗に洗うのがポイントです。

洗浄の際、熱湯を使用すると熱によって入れ歯が変形してしまう恐れがあるため、水またはぬるま湯で洗いましょう。

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入れ歯安定剤のネバネバでよくある3つの質問

入れ歯安定剤のネバネバでよくある3つの質問

最後に、入れ歯安定剤のネバネバでよくある質問にお答えします。

  • 質問1.入れ歯安定剤を使用する目的は?
  • 質問2.入れ歯安定剤は必ず使わないとダメ?
  • 質問3.入れ歯安定剤は食べてしまっても大丈夫?

それぞれ詳しくみていきましょう。

質問1.入れ歯安定剤を使用する目的は?

総入れ歯の吸着力が弱いときや、部分入れ歯の金具がゆるいとき、入れ歯安定剤を使用すれば、外れにくくすることが可能です。また、入れ歯の不適合により使用時に痛みを感じる場合、歯科医院を受診するまでの一時的な応急処置として、入れ歯安定剤を使用するケースもあります。

一方で、外出時の食事会などで絶対に入れ歯が外れてほしくない時にも、入れ歯安定剤は補助として役立ち、外れる心配をせずに過ごすことができます。

質問2.入れ歯安定剤は必ず使わないとダメ?

口腔内にあわせてきちんと調整されている入れ歯であれば、入れ歯安定剤を使用する必要はありません。

入れ歯に一時的な不具合が生じている場合、状況にあわせて入れ歯安定剤を使用しましょう。なお、入れ歯の不具合は放置せず、歯科医に相談して指示に従うことが重要です。

質問3.入れ歯安定剤は食べてしまっても大丈夫?

口腔内に入れて使用する製品は、常識的な量であれば、食べても安全な材料で作られています。

製品によって成分の違いがあるため、使用前は必ず説明書を確認してから、正しく使用しましょう。

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まとめ

まとめ

入れ歯は、きちんと歯ぐきにフィットしていることが理想的ですが、唾液の量や性状など、調整できない要素によって安定感が損なわれる場合があります。そんなときに役立つのが、入れ歯安定剤です。

入れ歯安定剤は、隙間を埋めて食べ物の侵入を防ぎ、歯ぐきの炎症を防止します。一日中快適に入れ歯を使用できるように作られているので、食事や会話を楽しめます。適切に入れ歯安定剤を活用して、入れ歯の安定性を向上させましょう。

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