知覚過敏は、冷たいものや歯ブラシの毛先が触れたときに感じる一過性の痛みです。この痛みが原因でブラッシングが不十分になると、プラーク(歯垢)が残り、知覚過敏や歯周病を悪化させる悪循環に陥ってしまう可能性があるのです。
本記事では、知覚過敏を引き起こす主な原因や歯ブラシの選び方、ブラッシング方法を解説します。ぜひ参考にしてください。

知覚過敏を引き起こす3つの主な原因

知覚過敏は、歯の表面を覆うエナメル質が削れたり、歯ぐきが下がって象牙質が露出したりして発生します。ここからは、知覚過敏の原因について解説します。
1.ブラッシング時の過度な圧力
歯を磨く際、強くゴシゴシとブラッシングする行為は、エナメル質を傷つけたり、歯ぐきを退縮させたりする原因の一つです。硬い毛の歯ブラシを使い、力を入れすぎると、摩擦によって歯の根元にある象牙質が露出しやすくなります。
誤った歯磨き方法は、短期間であっても積み重なると知覚過敏を悪化させる可能性があります。そのため、歯ブラシを鉛筆のように持ち、力を入れすぎずに磨くのが大切です。
毛先が少ししなる程度の軽い力で磨くように意識しましょう。歯周病の予防と知覚過敏の改善のためには、正しい力加減と磨き方の習得が不可欠です。
なお、歯みがきのポイントや適切なタイミングについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:歯ブラシの持ち方は2種類|歯みがきのポイントや適切なタイミングを徹底解説! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム
2.歯周病の進行と歯ぐきの退縮
歯周病が進行すると、歯周病菌によって歯を支える骨(歯槽骨)が溶かされ、歯ぐきが後退します。その結果、本来歯ぐきに覆われていた部分の象牙質が露出し、知覚過敏の症状が出やすくなるのです。
歯周ポケットの奥深くに潜むプラークは、酸を出すので露出した象牙細管をさらに広げ、症状を悪化させるでしょう。歯周病の治療は、知覚過敏の根本的な対策としても重要です。
歯科医院での定期的な検診とプロフェッショナルケア、自宅での丁寧なオーラルケアを組み合わせるのが、進行を防ぐ最良の方法だと言えます。
3.かみ合わせの異常や歯ぎしり・食いしばり
かみ合わせの異常や、睡眠中の歯ぎしり・日中の食いしばりといった習慣も、知覚過敏の原因となる場合があります。強い力が歯に加わると、歯の根元付近に過度な負担がかかり、歯が欠けたり、エナメル質に亀裂が入ったりするケースもあります。
このように、物理的なダメージによっても象牙質が露出し、刺激が伝わりやすくなるのです。知覚過敏の症状がなかなか改善しない場合は、ナイトガード(マウスピース)など、歯ぎしりや食いしばりを軽減するための治療を並行して行うのが良いでしょう。
根本的な原因を見極めるためにも、まずは歯科医院で相談するのがおすすめです。

知覚過敏対策で失敗しない歯ブラシ選びの4つのポイント

知覚過敏による痛みを最小限に抑え、効果的にプラークを除去するには、歯ブラシ選びが非常に重要です。知覚過敏の方が、安心して使える歯ブラシを選ぶための4つのポイントを解説します。
1.毛は「やわらかめ」
硬い毛の歯ブラシは、エナメル質を削ったり、退縮した歯ぐきを傷つけたりするリスクが高く、知覚過敏を悪化させる可能性があります。「やわらかめ」の歯ブラシは、歯ぐきや歯の表面に優しく、知覚過敏のリスクゾーンにハミガキ成分を届けやすいのがメリットです。
ただし、清掃力が「ふつう」タイプに比べてやや劣るため、力を入れずに、時間をかけて丁寧に磨くのが大切になります。歯ぐきのコンディションに合わせて、歯ブラシを選ぶのが、知覚過敏のケアの基本です。
なお、歯ブラシの硬さの種類や特徴については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:歯ブラシの硬さの種類や特徴とは?おすすめの歯ブラシの硬さや選び方を徹底解説! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム
2.毛先の形状は「極細毛(テーパード毛)」
知覚過敏の多くは歯周病の進行によって歯ぐきが下がり、歯の根元が露出して起こりますそのため、歯周ポケットや歯と歯ぐきの境目にも届きやすい、先端が細くなった極細毛(テーパード毛)で優しくプラークをかき出すのが効果的です。
極細毛は、毛先が細くしなやかです。歯ぐきに腫れや出血がある場合でも負担をかけにくいのが特徴です。
毛先が丸く加工されたラウンド毛も歯や歯ぐきに優しい形状です。しかし、清掃性を考えると、極細毛の方がより知覚過敏の原因となる歯周病対策に適しています。
3.ヘッドは「コンパクトサイズ」
歯ブラシのヘッドは、口の奥や歯並びの悪い部分、歯の根元にもしっかりと毛先が届くよう、コンパクトサイズを選ぶのがおすすめです。一般的には、自分の親指の第一関節ほどの長さが適切なサイズとされています。
ヘッドが大きすぎると、奥歯の裏側や細かい部分に歯ブラシを当てにくくなり、プラークの磨き残しにつながってしまいます。知覚過敏は、特に歯の根元に集中して症状が出るため、その部分を細かくコントロールして磨けるコンパクトサイズの歯ブラシが、効果的なセルフケアには不可欠です。
4.弾力性のある「ネック」の有無
知覚過敏専用に設計された歯ブラシの中には、ブラッシング時の過度な圧力を吸収するための弾力性のあるネックを採用しているものがあります。これは、ブラッシングの力が強すぎると、歯ぐきの退縮やエナメル質の摩耗が進むリスクを軽減するために考えられた構造です。
知覚過敏の方は、歯ブラシに過度な力を入れがちです。弾力ネックは力の入れすぎを防ぐのに役立ちます。
ネックに弾力性のある歯ブラシは歯ぐきに優しく、プラークを効果的に除去しつつ知覚過敏の悪化を防げます。

知覚過敏の痛みを抑える正しいブラッシングの方法と3つの対策

誤った方法で歯を磨き続けると、象牙質の露出を進行させ、知覚過敏の痛みを悪化させかねません。ここでは、正しいブラッシングの基本や知覚過敏の方が注意すべきポイントをお伝えします。
1.「バス法」や「スクラビング法」などの磨き方を実践する
知覚過敏がある方は、歯周病予防にも有効とされる「バス法」や「スクラビング法」での歯磨きがおすすめです。これらの磨き方は、毛先を歯と歯ぐきの境目や歯面に対して正確に当て、小刻みに動かすのが特徴です。
歯ブラシの毛先が象牙質が露出した部分に強く当たらないよう、軽い力で磨くのがポイントです。歯ブラシの毛先が、歯周ポケットや歯間といった汚れが溜まりやすい部分にしっかりと届くよう、1〜2本ずつ丁寧に小刻みに動かしましょう。
プラークを優しくかき出すように意識してください。
2.知覚過敏ケアハミガキ粉を併用する
知覚過敏ケア用のハミガキ粉には、硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどの薬用成分が配合されています。露出した象牙細管の刺激の伝達をブロックしたり、象牙細管を塞いだりする効果が期待できるのです。
これらのハミガキ粉は症状を和らげるために継続的に使用するよう、推奨されています。また、歯周病対策成分が同時に配合されているものを選べば、知覚過敏の原因の一つである歯周病の予防も同時に行えます。
歯ブラシにハミガキ粉を適量取り、痛む部分に成分を留まらせるように、優しく丁寧に磨きましょう。
3.食後すぐのブラッシングを避ける
食後、お口の中は飲食物に含まれる酸や、プラークが作り出す酸によって酸性に傾きます。このとき、エナメル質が一時的に柔らかくなっています。
この状態で強くブラッシングすると、エナメル質が削れやすくなり、知覚過敏の悪化につながる可能性があるのです。食後のブラッシングは、口内が中性に戻るまでの目安とされる30分程度待ってから行うのがおすすめです。
食後すぐに口の中をきれいにしたい場合は、水やお茶で軽くゆすぐ程度に留めましょう。歯ブラシを使うタイミングに注意を払うのが大切です。

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歯ブラシと知覚過敏の関係性でよくある3つの質問

歯ブラシと知覚過敏の関係性でよくある質問を3つ紹介します。それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。
質問1.知覚過敏の症状がある場合、電動歯ブラシは使ってもよいですか?
知覚過敏の症状がある場合でも、電動歯ブラシの使用は可能です。電動歯ブラシは、機種によっては過剰なブラッシング圧を感知して知らせてくれる圧力センサーが搭載されています。
手磨きで力を入れすぎてしまう方にとって、歯や歯ぐきを傷つけにくい点が電動ブラシのメリットです。しかし、電動歯ブラシを使う場合も、必ず知覚過敏や歯周病対策として設計された、やわらかめの替えブラシを選びましょう。
また、歯磨き粉は研磨剤の少ない、知覚過敏ケア用のものを使用してください。歯ブラシを強く押し付けずに、毛先を当てるだけの磨き方を意識しましょう。
質問2.知覚過敏用の歯磨き粉は、どのくらいの期間使えば効果が出ますか?
知覚過敏ケア用のハミガキ粉の効果には個人差があります。多くの製品では、数週間から1か月程度の継続使用で効果を実感しはじめると言われています。
症状が緩和されたと感じても、使用をやめると再び症状が出る場合も少なくありません。知覚過敏の症状が続いている間は、日々のケアとして継続した使用が推奨されています。
また、症状が改善しない場合は、むし歯などの別の原因もあるため、歯科医院で診察を受けましょう。
質問3.歯ブラシ以外に、知覚過敏のケアに役立つアイテムはありますか?
歯ブラシとハミガキ粉以外にも、知覚過敏のケアに役立つアイテムはいくつかあります。
- デンタルフロスや歯間ブラシ
歯間や歯と歯ぐきの境目など、歯ブラシが届きにくい部分のプラークを効率的に除去できる
- デンタルリンス(マウスウォッシュ)
知覚過敏ケア成分が配合されたものをラッシング後に使用すれば、象牙細管へのハミガキ成分の定着をサポートする効果が期待できる
上記のような補助的なアイテムを活用すると、知覚過敏の悪化を防ぎ、口腔内全体の健康維持に繋がるでしょう。
なお、歯間ブラシやデンタルフロスの特徴については、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
関連記事:歯間ブラシやデンタルフロスの特徴とは?それぞれの使い分け方も詳しくご紹介します! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

まとめ

知覚過敏対策の歯ブラシは「やわらかめ」、毛先は「極細毛」、ヘッドは「コンパクトサイズ」を基準に選びましょう。また、ブラッシングは鉛筆持ちで力を入れすぎないのが大切です。
知覚過敏ケア用のハミガキを併用して、象牙質への刺激を最小限に抑えるのがポイントです。症状がなかなか改善しない場合は、歯科医院で専門的な診断と治療を受けるのが確実で迅速な解決策となります。
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