歯周病と乳酸菌の関係とは?3つの効果と予防のステップ

お口の悩み

毎日の歯磨きだけで汚れを落とせているのか不安を感じている方や、できれば薬品に頼らずに口内環境を整えたいと考えている方は多いのではないでしょうか。健康に役立つ微生物(主に乳酸菌やビフィズス菌)は「プロバイオティクス」と呼ばれ、歯科医療の現場でも注目されています。

歯周病と乳酸菌のもつメカニズムは、以下のとおりです。

  • メカニズム①善玉菌を増やして悪玉菌を減らす
  • メカニズム②抗生物質と違い「耐性菌」のリスクがない
  • メカニズム③全身の健康にもつながる

本記事では、歯周病と乳酸菌の関係や、事例、歯周病予防を実現するためのステップについて解説します。ぜひ参考にしてください。

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歯周病と乳酸菌の関係における3つのメカニズム

歯周病と乳酸菌の関係における3つのメカニズム

ここからは、なぜ乳酸菌が口内環境によい影響を与えるのか、3つのメカニズムについて解説します。

メカニズム①善玉菌を増やして悪玉菌を減らす

口の中には数千億個もの細菌が住んでおり、善玉菌、悪玉菌、日和見菌がバランスをとって共存しているのです。これを「口内フローラ」と呼びます。

 歯周病が進行している人の口内は、ジンジバリス菌などの悪玉菌が優勢な状態です。ここに強力な善玉菌(乳酸菌)を投入すれば、悪玉菌の居場所を奪い、勢力を弱められます。

これが「バクテリアセラピー」と呼ばれる手法です。抗生物質のように菌を一掃するのではなく、口腔内の自然なバランスを回復させられます。

メカニズム②抗生物質と違い「耐性菌」のリスクがない

従来の歯科治療では、重度の歯周病に対して抗生物質(抗菌薬)を使用する場合がありました。しかし、薬を使いすぎると、薬が効かない「耐性菌」が生まれたり、副作用で良い菌まで死滅させてしまったりするリスクがあります。

 一方、乳酸菌によるケアは食品成分由来であるため、副作用や耐性菌のリスクがほとんどありません。体に優しく、長期間安心して続けられる点が乳酸菌を使用するメリットです。

メカニズム③全身の健康にもつながる

口は「命の入り口」とも呼ばれます。歯周病菌は口の中だけでなく、血管を通って全身に回り、糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎などのリスクを高めるのです。 

乳酸菌で口内環境を整える習慣は、単に歯を守るだけではなく、全身の健康管理に直結します。特に高齢の方や、生活習慣病が気になる方にとって、乳酸菌ケアは理にかなった健康法と言えるでしょう。

参考:腸内細菌と健康|厚生労働省e-ヘルスネット

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歯周病対策における乳酸菌の効果を示す3つの事例

歯周病対策における乳酸菌の効果を示す3つの事例

乳酸菌が歯周病に良いと言われても、具体的にどのような効果があるのかイメージしにくいかもしれません。この章では、実際に研究で確認されている事例をもとに、乳酸菌が歯周病対策として有効である根拠をお伝えします。

事例①乳酸菌HK L-137による歯周ポケットの改善

ハウス食品グループ本社株式会社の研究では、加熱処理した乳酸菌「HK L-137」の摂取により、歯周病の指標である「歯周ポケットの深さ」が有意に改善しました。この研究では、慢性歯周病患者を対象に12週間の摂取実験を行いました。

実験の結果、HK L-137を摂取したグループは、摂取しなかったグループに比べて歯周ポケットが浅くなり、歯茎の炎症が抑えられたのです。これは、乳酸菌が免疫機能を高め、炎症を抑制する働きがあると示唆しています。

参考:乳酸菌HK L-137のヒト歯周病改善効果|ハウス食品グループ本社

事例②L8020菌による歯周病菌・むし歯菌の抑制

広島大学歯学部の二川浩樹教授によって発見された「L8020菌」は、健康な子供の口の中から発見された乳酸菌です。この菌は、歯周病の原因となるジンジバリス菌や、むし歯の原因となるミュータンス菌の発育を抑制します。

 L8020菌を含むヨーグルトやタブレットを摂取すれば、口内の悪玉菌を減らし、善玉菌優位の環境(口内フローラ)を作れるでしょう。実際に多くの関連商品が開発され、日常的なケアに取り入れられています。

参考:L8020乳酸菌とは|L8020協議会

事例③ロイテリ菌によるプラーク形成の抑制と抗炎症作用

ヒトの母乳や口腔内に由来する「ロイテリ菌」も、歯科領域で広く活用されています。ロイテリ菌は、天然の抗菌物質を産生し、歯周病菌の増殖を抑えるだけでなく、プラーク(歯垢)の形成自体も抑制すると報告されているのです。

 また、ロイテリ菌は抗炎症作用も持ち合わせており、歯肉炎の緩和や口臭の改善にも寄与します。世界中の歯科医院で、プロバイオティクスとして導入されている実績がある菌です。 

参考:オハヨーバイオテクノロジーズ株式会社

なお、口臭ケアグッズのおすすめは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:【2024年最新】口臭ケアグッズおすすめ10選|選び方のポイントやよくある質問もご紹介します! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

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歯周病予防を乳酸菌で実現するための3つのステップ

歯周病予防を乳酸菌で実現するための3つのステップ

乳酸菌の効果を最大限に引き出し、歯周病予防を実現するには、選び方と使用法の正しい理解が不可欠です。ここでは、今日から始められる具体的な3つのステップを紹介します。

ステップ①自分の目的に合った「乳酸菌の種類」を選ぶ

まずは、摂取する乳酸菌の種類を選びましょう。すべての乳酸菌が口内環境に効くわけではありません。

「お腹に良いヨーグルト」が必ずしも「口内に良い」とは限りません。以下の表を参考に、目的に合った菌が含まれている商品(タブレット、歯磨き粉、洗口液など)を選んでください。

◆乳酸菌の種類と特徴の比較表

乳酸菌の種類特徴おすすめな人・目的
L8020菌ドラッグストアなどで入手しやすいむし歯菌と歯周病菌の両方を抑制したい方
ロイテリ菌歯科医院での取り扱いも多い口臭が気になる方
LS1菌(ラクトバチルス・サリバリウス)プロバイオティクスとして口内環境をサポート世界的な実績を重視したい方や口内の細菌バランスを整えたい方
HK L-137歯茎の健康維持に適している免疫力を高めたい方や内側から歯茎の健康を守りたい方

商品のパッケージや公式サイトを確認し、「歯科用」「オーラルケア用」として開発されたものを選ぶと確実です。

ステップ②就寝前の歯磨き後に摂取する習慣をつける

乳酸菌アイテムを使うタイミングは非常に重要です。最もおすすめなのは、夜寝る前の歯磨きの後といえます。

なぜなら、就寝中は唾液の分泌が減り、口の中で細菌が爆発的に増殖しやすい時間帯だからです。 このタイミングで乳酸菌(特にタブレットやトローチタイプ)を摂取し、口の中に善玉菌を留まらせれば、寝ている間の悪玉菌の繁殖を効果的に抑えられるでしょう。

 注意点として、乳酸菌はあくまで「プラスアルファのケア」です。歯磨きをおろそかにして乳酸菌だけを摂取しても、歯垢(プラーク)が残っていれば効果は半減してしまいます。

丁寧に歯を磨いた後に、使用してください。

なお、歯ブラシの持ち方や磨き方のポイントは、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:歯ブラシの持ち方は2種類|歯みがきのポイントや適切なタイミングを徹底解説! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

ステップ③3か月以上継続して口内フローラを定着させる

口の中の細菌バランス(口内フローラ)は、一朝一夕では変わりません。数日摂取しただけでは、一時的に善玉菌が増えても、すぐに元の状態に戻ってしまいます。 

善玉菌を口の中に定着させ、環境を根本から変えるには、毎日の継続が欠かせません。まずは1ヶ月から3ヶ月を目安に続けてみてください。

「朝起きた時の口のネバつきが減った」「口臭が気にならなくなった」といった変化を感じられたら、口内環境が整ってきているサインです。

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歯周病ケア・オーラルケア商品の購入なら「お口のお店 Oral Care Shop」

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歯周病と乳酸菌についてよくある3つの質問

歯周病と乳酸菌についてよくある3つの質問

ここでは、歯周病と乳酸菌についてよくある質問を3つ紹介します。それぞれ詳しく見ていきましょう。

質問①市販のヨーグルトを食べるだけでも効果はありますか?

一般的なヨーグルトは健康には良いですが、歯周病への直接的な効果を期待するのは難しい場合があります。 一般的なヨーグルトに含まれる乳酸菌は、主に腸で働くのが目的であり、口の中には定着しにくい性質があるためです。

歯周病予防を目的とするなら「L8020菌」や「ロイテリ菌」など、口腔ケア用に開発された乳酸菌が含まれるヨーグルトやタブレットをおすすめします。

質問②どのくらいの期間で効果を感じられますか?

個人差や口内環境の状態によりますが、早い人では摂取を開始して数日から1週間程度で「朝のネバつきの減少」や「口臭の軽減」を感じられます。 ただし、歯周病菌の活動を十分に抑制し、歯茎の状態が安定するまでには、少なくとも1ヶ月〜3ヶ月程度の継続が必要です。

即効性を求めるのではなく、体質改善の一環として長く続ける姿勢が大切です。

質問③乳酸菌ケアをしていれば歯磨きは適当でも大丈夫ですか?

乳酸菌は、あくまでも口内の「細菌バランスを整える」ものであり、歯の表面に付着した汚れ(歯垢や歯石)を物理的に除去する効果はありません。 汚れが残ったままでは、いくら乳酸菌を摂取しても悪玉菌の繁殖力に勝てない可能性があります。

「丁寧な歯磨き」という土台があって初めて、乳酸菌の効果が発揮されると考えてください。

なお、歯石と歯垢の違いについては、こちらの記事で詳しくご紹介しています。

関連記事:歯石と歯垢の違いとは?つきやすい場所や放置するリスク、予防方法を詳しくご紹介! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

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乳酸菌習慣で健康な歯茎を取り戻そう!

乳酸菌(プロバイオティクス)を活用した歯周病ケアは、体に負担をかけずに口内環境を根本から整えられる、非常に有効な手段です。 毎日の習慣に少しの工夫を加えるだけで5年後、10年後の歯の健康状態に大きな差がつきます。

「もう年だから」「体質だから」と諦める前に、ぜひ菌の力を借りたケアを始めてみてください。歯周病予防を乳酸菌で実現するには、以下のステップが大切です。

  • ステップ①自分の目的に合った「乳酸菌の種類」を選ぶ
  • ステップ②就寝前の歯磨き後に摂取する習慣をつける
  • ステップ③3か月以上継続して口内フローラを定着させる

まずは、自分のお気に入りの乳酸菌タブレットを見つけるところから始めませんか。美味しく手軽なケアで、自信の持てる健康な口元を手に入れましょう。

なお「お口のお店Oral Care Shop」では、お口の悩みを持つすべての人のために、歯ブラシや入れ歯洗浄剤など、歯科医師に認められたオーラルケア商品を販売しています。いずれの商品も、歯科技工士が自信を持っておすすめする商品です。

ぜひ、お口の健康維持にお役立てください。⇒お口のお店Oral Care Shopはこちら

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