大切に扱っていても、入れ歯にひびが入ってしまうことはあります。しかし、「まだ使えるから大丈夫」とそのままにしたり、自分で修理を試みたりするのは危険です。ひび割れを放置すると、お口の健康を大きく損なうリスクがあります。
本記事では、入れ歯のひび割れが起きる原因から、専門家による修理方法、絶対に避けるべき自己修理の危険性まで詳しく解説します。

入れ歯にひび割れが発生する原因と放置するリスク

入れ歯にひび割れが生じるのは、いくつかの要因が考えられます。ここでは、入れ歯にひび割れが発生する主な原因と、ひび割れを放置する危険性について詳しくお伝えします。
1.噛み合わせや経年劣化による問題
入れ歯にひび割れが生じる原因の一つは、噛み合わせの不均衡です。長期間使用すると歯ぐきの形が変化し、入れ歯と歯ぐきの間に隙間が生まれる場合があります。
この隙間によって入れ歯に過度な力が集中すると、ひび割れや破損につながる可能性があるのです。また、入れ歯の素材であるプラスチック(レジン)も、長期間の使用により劣化して強度が低下します。
その結果、ひび割れが発生しやすくなるのです。入れ歯が合わなくなったり、ぐらつきを感じたりする場合は、早めに歯科医院に相談しましょう。
2.強い衝撃による破損
日常生活の中で、入れ歯を落としてしまうといった強い衝撃もひび割れの原因になります。特に、床や洗面台などの硬い場所に落とした場合、部分的に強い力が加わり、亀裂が入ったり割れたりする事例があります。
この他にも、硬すぎる食べ物を無理に噛むなども、入れ歯に負担をかけ、ひび割れの原因となるため注意が必要です。入れ歯は精密な器具であるため、日頃から丁寧に扱ってください。
3.自己修理による悪影響
ひび割れた入れ歯を自分で直そうと、市販の瞬間接着剤を使用するのは絶対に避けてください。市販の接着剤は入れ歯の素材と相性が悪く、かえって状態を悪化させます。
接着剤によって割れた面が正確に合わなくなると、修理がさらに難しくなるでしょう。それだけでなく、噛み合わせのずれを引き起こす原因にもなります。
噛み合わせのずれは、残っている歯や顎関節に負担をかけ、顎関節症や歯周病を悪化させるリスクもあるため、自己判断での修理は絶対にやめてください。

入れ歯のひび割れ修理の具体的な方法と費用

入れ歯のひび割れ修理は、どのような方法で修理するのか、どのくらいの費用がかかるのかといった疑問を持つ方も多いでしょう。歯科医院での入れ歯修理の具体的な方法や期間、費用の目安について解説します。
1.歯科医院での修理方法
歯科医院では、ひび割れた部分を歯科用の特殊なプラスチック(レジン)で補修するのが一般的です。まず、ひびの部分を少し削り、そこに新しいレジンを流し込んで固めます。
ひび割れの原因が噛み合わせの不均衡にあると判断された場合は、噛み合わせの調整も同時に行われます。入れ歯が完全に割れてしまった場合でも、元の形状に戻せるケースが多く、専門的な技術で丁寧な修理が可能です。
2.修理にかかる期間
入れ歯修理にかかる期間は、ひび割れの程度によって大きく異なります。小さなひび割れや部分的な欠損など、比較的軽度な破損であれば、数時間から1日程度で完了するケースが多いです。
一方、入れ歯が真っ二つに割れてしまったり、複雑な破損が生じたりした場合は、修理に数日を要する場合もあります。修理期間は歯科医院によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。
3.修理費用の目安
入れ歯修理の費用は、破損の程度によって大きく変わります。保険適用の部分入れ歯の場合、修理費用は1,000円から5,000円程度が目安です。
総入れ歯の場合は10,000円前後となります。自費の入れ歯の修理費用は、素材や破損状況によって大きく異なり、10,000円から100,000円程度の幅があります。
正確な費用については、歯科医院に直接問い合わせて確認することが重要です。
なお、保険適用になる入れ歯の値段相場については、こちらの記事でご紹介しています。
関連記事:保険適用になる入れ歯の値段相場を解説|値段に違いがある理由やよくある質問もご紹介します! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム
4.修理不能なケース
入れ歯の種類によっては、修理が難しいケースもあります。例えば、ノンクラスプ義歯やシリコン入れ歯など、特殊な素材でできているものは修理時の接合が難しく、作り直しが必要になるでしょう。
また、破損が激しく、複数の破片が失われてしまっている場合も、修理が困難です。入れ歯を新しく作ってから6ヶ月以上経過している場合は、保険で新しい入れ歯を作れる場合もあるため、修理と作り直しのどちらが良いか、歯科医師とよく相談しましょう。
なお、シリコン入れ歯については、こちらの記事でご紹介しています。
関連記事:【歯科技工のプロが教える】シリコン入れ歯とは?メリットやデメリット、費用相場を徹底解説! – 歯科技工所|株式会社シケン コラム

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入れ歯 ひび割れ 修理でよくある3つの質問

ひび割れた入れ歯について、多くの人が抱く疑問に回答します。それぞれの詳しい内容について、見ていきましょう。
質問1.自分でできる応急処置はありますか?
ひび割れた入れ歯を自分で修理しようとするのは、かえって状態を悪化させる危険があるため、絶対に行わないでください。応急処置として、これ以上破損を広げないように入れ歯の使用を中止し、歯科医院を受診するまで安全に保管してください。
割れた破片がある場合は、捨てずに一緒に保管しておきましょう。入れ歯は乾燥すると変形やひび割れが進行する可能性があるため、専用のケースに水を入れて保管するのがおすすめです。
質問2.修理中に食事はできますか?
入れ歯修理中は、一時的に入れ歯がない状態で過ごすようになります。そのため、食事には工夫が必要です。
硬いものや粘り気のあるものは避け、おかゆやスープ、細かく刻んだ野菜や肉など、柔らかい食事を心がけましょう。入れ歯がない期間でも栄養バランスを保つのが大切です。
修理期間が長期にわたる場合は、サプリメントの利用も検討すると良いでしょう。
質問3.壊れた入れ歯を使い続けても大丈夫ですか?
ひび割れた入れ歯を無理に使い続けると、噛み合わせのバランスが崩れ、残存歯や歯ぐきに負担がかかる可能性があります。また、ひび割れた部分が舌や口内の粘膜を傷つけ、口内炎や感染症の原因となる危険もあります。
ひび割れは放置するとさらに広がり、入れ歯が完全に割れてしまう原因にもつながるため、入れ歯に異変を感じたら、できるだけ早く歯科医院に相談することが大切です。

まとめ

入れ歯のひび割れは、噛み合わせの不均衡や経年劣化、強い衝撃など、さまざまな原因で発生します。ひび割れたままの入れ歯を放置すると、噛み合わせのずれや口内の損傷、さらには歯周病などのリスクを高めてしまいます。
自己判断で修理を試みるのは避け、速やかに歯科医院を受診しましょう。歯科医院では、特殊なプラスチックを用いた修理や、噛み合わせの調整など、専門的な方法で適切に対応してもらえます。
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